花文字ソムリエ協会のくにはなメソッド®︎で、宝尽くしの絵柄のひとつ「打出の小鎚」が花文字で描けるようになります!
描き方は協会の会員さんに伝授となりますので、こちらでは「打出の小鎚」のマメ知識と花文字で描いた「打出の小鎚」を紹介します。
「打出の小鎚」の持つ意味
- 欲しい物が手に入る。
- 願いをかなえる。
- 敵に打ち勝つ
大黒天は日本に伝わってから「打出の小鎚」をお手に取るように
七福神の一人である大黒天は右手に打出の小鎚をお持ちです。
ですが、この神様は最初は打出の小鎚をお持ちではありませんでした。
もともと大黒天とは、インドのヒンドゥー教に登場する神様で、シヴァ神の別名の「マハーカーラ」というお名前でした。
マハーとは「大(偉大なる)」、カーラとは「黒(暗黒)」という意味で、「マハーカーラ」は偉大なる暗黒神でした。
今私たちが見かける大黒天のお姿とは全く異なり、青黒い体で憤怒の表情をしています。
打出の小鎚はお持ちではありませんでした。
マハーカーラはインドから中国に伝わったさいに「大黒天」と名前を変え、仏教に取り入れられ、かまどの神様として台所に祀られたりしました。
そして中国の「大黒天」は仏教とともに日本にも伝わってきます。
日本では最澄が毘沙門天、弁財天と合体した三面大黒を比叡山延暦寺の台所の守護神として祀ったのが始まりだそうです。
大黒天は、鎌倉時代になると日本の神話に登場する大国主神も大国(だいこく)と読めることから、次第に大国主神と同一の神様と見なされるようになってきました。
それまでは憤怒相だった大黒天ですが、大国主神と結びつくことで笑顔に変化します。
また江戸時代以降では打出の小鎚と袋を持ち、米俵に乗る、よく見るお姿になっていきます。
右手の打出の小鎚を振れば振るほど金銀財宝が出てきます。
左手の大きな袋ですが、大国主神は因幡の白兎を助けたときに大きな袋を持ち、兄神たちの荷物をひとりで運ばされていました。
その影響でか、大黒天も袋を持ち、袋の中には七宝がつまっているという話があります。
七宝には精神的な宝の
- 寿命
- 人望
- 清麗(=清らかでうるわしいこと)
- 大量(=度量の広いこと)
- 威光
- 裕福
- 愛嬌
物質的な宝の
- 金
- 銀
- 瑠璃(るり)
- 玻璃(はり)、
- 真珠
- 珊瑚(さんご)
- 瑪瑙(めのう)
があります。
足元の米俵は五穀豊穣を表しています(※米俵に乗っていない大黒天像もあります)。
個人の願いをかなえる「打出の小鎚」
大黒天ともうひとり、打出の小鎚を持っていることで有名なのが一寸法師です。
「御伽草子」という今でいう絵本に出てくる登場人物です。
子供に恵まれない老夫婦が住吉の神に祈ると身長が一寸(3cm)しかない子供が生まれ、一寸法師と名づけられました。
一寸法師は武士になるため京都へ行き、立派なお屋敷で働かせてもらいます。
そのお屋敷の娘が宮参りの旅をしているときに(一寸法師の策略で娘が家を追い出されたという説もあります)、鬼にさらわれそうになります。
一寸法師は果敢に鬼と闘い、鬼に飲み込まれても胃の中を刺したりするので(目から出てきて目を刺すという説もあります)鬼は退散します。
そのとき鬼は「打出の小鎚」を落としてしまいます。
一寸法師は娘に「背を高くしてほしい」と頼み、打出の小鎚を振ってもらうと6尺(180cm)もある大男に変身!
打出の小鎚は金銀財宝を出すほかこうした個人の願いもかなえてくれます。
さらに金銀財宝も打出の小鎚で出して、一寸法師は娘と結婚して幸せに暮らしたとのことです。
家紋にもなっている「打出の小鎚」
打出の小鎚は「鎚文(つちもん)」という家紋にもなっています。
丸みを帯びたコロンとした小鎚になっています。
参考サイト:家紋のいろは
宝尽くしの「打出の小鎚」
宝物を集めた吉祥文様の「宝尽くし」の中にも「打出の小鎚」は加えられています。
また「打出の小鎚」は物を「打つ」ことから、敵に打ち勝つという意味も持ちます。
「ここぞ、負けたくない」ってときに力になってくれる文様でもあります。
花文字で描く「打出の小鎚」
花文字をお渡しする方のお名前、好きな言葉などにその方の願いがかないますよう気持ちを込めて描くおめでたい絵柄です。